二度目の恋の、始め方
もしかしてよく医療テレビで見る、宮路院長総回診ってやつなのかもしれない。
だって入口に沢山、皆いらっしゃるもの。
「……あ……大丈夫です」
「まだ顔色が優れないね。もう少し点滴を追加しよう。悟、頼む」
「はい」
そう言って悟さんの指示の元、数人の看護士さんがテキパキ動き出す。そうしてようやく落ち着いた病室には、他のお医者さま達に出て行くよう促した院長と悟さんと私、三人だけになり重苦しい沈黙が続く。
「約束守ってくれているようだね」
沈黙を破ったのは、院長のそんな言葉。たまらずにぎゅっと布団を握り締めた。
「……院長と約束しました。ゆ、宮路クンにはもう近付かないって……」
「イイ子だ。ああ見えて雄大は将来ある身だからね。ゆくゆくは悟と二人三脚でここを盛り立ててくれればと思ってる」
「父さん!そんな話今じゃなくても……」
「悟さん。良いんです。……先生大丈夫です。宮路クンの将来の邪魔はしません」
「理解してくれて有り難いよ」
止めに入ってくれた悟さんを遮ってそう言うと、私を見下ろす院長の温かみなんて微塵も感じられない冷笑に、身体の熱がどんどん下がっていくような気がした。