二度目の恋の、始め方
「キミが約束を破らない限り、お父さんはこの先もずっとココで面倒を見よう」
「……ずっとって……お父さん元気になりますよね?一緒にお家に帰れますよね?」
「ドナーが見つかれば、だが」
「見つけてください!お願いします!」
「川嶋さん、落ち着いて」
悲願するおもいで、院長の白衣を掴んで揺さぶる。あんなにお家に帰りたいって、お仏壇と一緒に寝るんだって言ってたのに。お母さんのお墓参りも行かないと………
その帰りに美味しいものでも食べようって……誰かお願い……お父さんを助けて……
「ナンだよ。今の話」
「……っ、!」
一瞬、聞き違いかと耳を疑いたくなった。ううん、そう思いたかっただけ。
一番聞かれてはいけない人の、愛おしい声。病室の入口に呆然と佇む雄大の姿に、息もままならないまま、ただ悪夢のように、驚きと困惑の表情を浮かべている彼を見つめていた。
「……あ、あの……これは……」
「親父。説明しろ」
「雄大、まずは話を……」
「兄貴に聞いてねぇんだよ!親父!説明しねぇとマジでブン殴るぞ!」
雄大のこんな怒ってる姿を初めてみたせいか、それとも秘密がバレてしまったせいなのか身体の震えがとまらない。
そもそもどうして雄大がここに……制服姿からして学校帰り……?