二度目の恋の、始め方
「まだ学生だもの。自由にさせましょうよ。その代わり雄ちゃん?成績が下がるようなら今後のお付き合いは控えて貰うわよ」
「上等じゃん」
佐和子さんの厳しい言葉にもいっさい動じずに、雄大は余裕そうな笑み。
「あなた。良いわね?」
「……分かった。分かったよ」
何度も頷いてそのままフラフラと病室を出て行ってしまった宮路院長の背中が、とても小さく思えた。
終始ご機嫌の佐和子さんだけが、しばらくそのままパリの話で盛り上がっていたけど。
「父さん、婿養子なんだよね。もともと宮路総合病院は母さんのお父様、つまり俺等のお爺様が開業したんだ。
だから母さんには頭が上がらないんだよ」
悟さんはそう言って、院長の出て行ったドアを苦笑いで見つめていた。
……あれ。じゃあ私達って………