二度目の恋の、始め方
あれから佐和子さんは「観光案内しなさい」と言って雄大の首根っこを掴んで病室を出て行ってしまい、どうしようか困惑していると雄大が焦ったように戻ってきて……
「お前、携帯の連絡先変わってねぇの?」
「え?あ、うん!そのまま!」
「また連絡する。たぶん、ババアに捕まるとしばらく学校行けねぇから。
後でじっくり話聞かせろよ?バカ凛」
そう言って私の頭を乱暴に撫でて病室を出て行ってしまった。突然の出来事に顔を赤くしていると隣にいた悟さんが良かったね。といつもの優しい笑顔だったから、ようやく長い呪縛から解かれたように身体の力が一気に抜けたんだ。
やっと雄大と一緒にいれると思ったのに。
「つぅか川嶋って彼氏居たんだ。意外」
「好きな人くらいるもん」
「わりーわりー。男に興味ねぇと思ってたんだよ。どんな奴なの?」
「……ふ、普通の人……?」
「なんで疑問系?」
普通な人のわけないんだけどね。
まさか私の片思いの相手があの宮路雄大とは微塵も予想していない有馬は、机に置いた鏡で髪型をセットしながら興味なさげに聞いてくる。そんなに興味ないなら聞かなくて良いのにと、ぶぅたれてると。