二度目の恋の、始め方




「へぇ~、ヒロインするの?リンリンすごいじゃん。恥掻かないように頑張ってね」

「むぅ」

練習が本格的に始まり、そのあまりの台詞の多さに目を回していると、昼食を食べ終えてきょんの膝枕でリラックスモードの理玖ちゃんが意地悪を言ってくる。

「理玖くん、凛は演技上手だよ~。ただ問題なのが主役の黒田くんだよね。凛の前に立つと緊張からか台詞が出てこないもの」

「ふ~ん」

「……黒田クン、どうして私なんか指名したのかなぁ。きょんの方が絶対ジュリエット似合ってるのに……もうやだよぉ」

「気に入られてるものね。ご愁傷様」

二人から憐れみの視線を向けられながら膝に広げたお弁当を食べる。ココ裏庭でも文化祭に向けての準備が着々と進んでて各クラスのテントが張られてるんだけど。

「そう言えば特Sは文化祭何するの?」

聞いてみると、紺色のブカブカなカーディガンを着て前髪をチョコンと結んだ理玖ちゃんがチラッと視線だけを私に向けた。

「……カジノ」

「カジノ!?」

「ホンモンみたいに金は動かせないけどねぇ。ただ、俺等に勝てればホッペにちゅ~ぐらいは出来るから、人集めには最適ってことで決まったみたいだよ~」
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