二度目の恋の、始め方
止めに入った理玖ちゃんを一喝して、その後ろにいる私達を見て瞳を細める壱樹。
相変わらず綺麗な顔立ちには怒りが含まれてて、そんな壱樹に壁へ追いつめられた山田さんはもう半泣き状態。
「…………」
「黙るってことは自分のしたコトを認めるんだ。アンタどんだけ性格腐ってんの」
「だってそうでもしないと、葉山クンは私に見向きもしないでしょ!?川嶋さんには悪いと思ったけど、葉山クンに知ってもらうにはこの方法が一番なの!だからっ、」
ドンッ、鈍い音が非常階段に響く。壱樹が振り上げた拳が、山田さんの真横を掠めて壁にめり込んだ。震えながらズルズル、床に座り込む山田さんを見て、いてもたってもいられない私の腕を美月ちゃんが掴む。
「ねぇ凛ちゃん。イツキがこの世で一番嫌いなモノ、何だと思う?」
「嫌いなモノ?」
「それはねぇ、自分のテリトリーに無断で侵入してこようとする薄汚いネズミ」
「………ネズミ」
「そう。彼女のようなドブネズミ」
「葉山さん。アナタ、何言ってるの?」