二度目の恋の、始め方
二重の瞳を見開いて私を見下ろす壱樹。白くてキメ細かな手に長い指。
こんなに綺麗な手に傷を負わせてしまうなんて、私はなんて罪な人間なんだろう。
「慰めてくれるなら、俺的にはソコのベッドでの方が良いんだけど」
「ベッドって……ウソ、そんなに体調悪いの!?寝てた方が良いよ、ホラホラ!」
「…………」
「壱樹?」
慌てて壱樹の腕を掴んでベットに促そうとしてるのに、一向に動こうとしない。
不思議に思って首を傾ければ、私を無表情で見つめてた壱樹がプッと吹き出した。
「え?」
「フハッ、凛って、天然」
「……天然じゃないもん。ナンで笑うの」
「あまりにも馬鹿すぎて」
「馬鹿って……あんまりだよ……」
「あ~、言い過ぎたね。俺、結構ズカズカ言うタイプだからさ。それに凛には、真っ向勝負でイカないと伝わらなみたいだし」
「真っ向勝負?」
「コッチの話」
腕を引き寄せられて、もといた壱樹の足の間に戻るハメになった私は、瞳を細めて優しく笑う壱樹の姿に、ついつい見惚れてしまっていた。いつも無愛想なのにふいに見せるその笑顔、反則だと思う。