二度目の恋の、始め方


「そんなの無理だよ」


理玖と付き合う人は経済的に余裕のある人じゃなきゃ破滅する。俺が女の子に求める条件は金をどれだけ貢げるか。中学の時、真顔でそんなことを言った理玖ちゃんにドン引きしたのを覚えてる。

「言ってみただけ~。あの雄ちゃんを振ったくらいだから、俺なんて眼中にないのじゅ~ぶん分かってるしね~」

「理玖ちゃん!」

「ごめんごめん。口が勝手に」

全然反省の様子が伺えない理玖は、大きな瞳を少しだけ細めて笑う。

「……理玖ちゃんは変わらず意地悪だね。今日だって雄大がいるの分かっててワザと私に話しかけたもん」

「え~何のこと~?」

「惚けてもだーめ」

「だってあまりにも熱~い視線を感じるから。駄目だよ。もう雄ちゃんを誘惑しないでね?悪魔ちゃん」

中学の頃、あの不動の人気だった宮路雄大を振った私は一躍時の人となった。付き合っていた頃は靴に画鋲は日常茶飯事で、よく先輩に呼び出されては暴言ばかり浴びせられた。別れた翌日、雄大を弄んで捨てた悪魔のレッテルを貼られて、もう散々。
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