二度目の恋の、始め方
これじゃあ付き合ってた時より酷いよね。そう嘆いた私をただ1人、目の前にいる理玖だけはお腹を抱えて笑い飛ばしてくれたけど。このとき初めて、神憑った雄大の人気に恐怖を覚えたんだよね。
「じゃあ葉山さんにコレ渡してね」
「一応聞くけどイッキーからの返事はいるの?甘口、中辛、辛口、激辛。ちなみに中辛で不登校になる確立80パーだから」
「……極甘で」
「りょ~かい~」
中辛で不登校80パーなら甘口でも大差ないだろう。眼鏡ちゃんの人生をあの毒舌サイテー野郎にボロボロにされるのは同じクラスメートとして阻止したい。
ヒラヒラ、手を振りながら去っていく理玖の小柄な背中を見つめていると「……そう言えば」と思いだしたように足を止めた。
「体調悪いなら休めよ、ってね」
「え?」
「俺って優しいでしょ。じゃ~ね~」
訝しげな顔をした私を、理玖は面白そうに口角を上げて笑う。そのまま軽い足取りで校舎に消えて行く背中に、心配なんかしてないくせに!と叫びたくなった。
……ホント意味分かんないよ。理玖ちゃん。