二度目の恋の、始め方

「雄大と一緒に居るの疲れちゃったの。
ワガママで自己中で、私の気持ちなんて少しも考えてくれてないんだもん」

私に触れようとして伸ばされた雄大の長くて繊細な指先がピタリと止まる。いつも優しく包んでくれた彼の大きな手。
今の私はその手に触れる資格さえ、ない。

「冗談、だよな」

「……本気だよ」

「んな理由、納得できるわけねぇよ」

嫌なところなんて本当は無いはずないのに。

思わず顔を上げると彼の綺麗な顔がすぐ近くにあって、今まで見たことのない哀しげな表情をする彼を見て、胸が苦しくなる。

「……す……好きじゃなくなったの!」

「それ、マジで言ってんのかよ」

「だからそうだって!私達、最初から駄目だったんだよ。付き合っても上手くいくはずないじゃん」

「………あ?」

「さようなら。雄大」

ガタンッ、雄大が蹴り上げた机が、大きな音をたてて豪快に倒れる。怒りに満ちた雄大の顔。その瞳にはもう、私に対する憎しみしか込められてないのだろう。


「お前ほど残酷な女、見たことねぇ」


………お願い。
恨んで憎んで、そのまま私を忘れて。
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