二度目の恋の、始め方

むせ返しながら一時間ほどかけてようやく完食し、処方された薬を水で流し込む。そんな私を無言で見ていた雄大と、こうして顔を合わせるのは何ヶ月ぶりだろう。

「お前、あそこで働いてんのか」

「……うん。バイト」

「ふ~ん」

「カラオケに居た彼女、可愛い人だね。キスしてるから驚いちゃったよ」

嫌みを込めて言ったつもりなのに、雄大は気にする様子もなく、表情も変わらない。

「別に彼女じゃねぇ」

「……え?じゃあ、誰?」

「知らね」

あんなに密着してキスまで交わしておいて知らないなんて理屈、通るのかな。

「どうでも良いけどお前、一刻も早く親父さんに連絡しとけ。そんで今日はここに泊まれ。制服と鞄、あそこ置いてっから」

雄大の視線の先には紛れもなく私の荷物。制服はご丁寧にハンガーにかけてある。

「あれ?荷物……」

「ぶっ倒れたお前を運ぶ途中、女の店員が自分のケー番と一緒に俺に寄越してきた」

いやいや、絶対おかしいと思う。
< 25 / 130 >

この作品をシェア

pagetop