二度目の恋の、始め方
むせ返しながら一時間ほどかけてようやく完食し、処方された薬を水で流し込む。そんな私を無言で見ていた雄大と、こうして顔を合わせるのは何ヶ月ぶりだろう。
「お前、あそこで働いてんのか」
「……うん。バイト」
「ふ~ん」
「カラオケに居た彼女、可愛い人だね。キスしてるから驚いちゃったよ」
嫌みを込めて言ったつもりなのに、雄大は気にする様子もなく、表情も変わらない。
「別に彼女じゃねぇ」
「……え?じゃあ、誰?」
「知らね」
あんなに密着してキスまで交わしておいて知らないなんて理屈、通るのかな。
「どうでも良いけどお前、一刻も早く親父さんに連絡しとけ。そんで今日はここに泊まれ。制服と鞄、あそこ置いてっから」
雄大の視線の先には紛れもなく私の荷物。制服はご丁寧にハンガーにかけてある。
「あれ?荷物……」
「ぶっ倒れたお前を運ぶ途中、女の店員が自分のケー番と一緒に俺に寄越してきた」
いやいや、絶対おかしいと思う。