二度目の恋の、始め方

しばらくその場に突っ立っていた葉山壱樹くんは、バカにしたように口角を上げて笑う。人間には好き嫌いというのが必ずあるもので、どうやらは、この人を第一印象で苦手の部類にインプットしたかも。

「俺のこと知りたいと思わない?」

「え?」

「俺は凛のこともっと深く知りたいよ。付き合うのはお互いを良く理解してからでも遅くないよね」

「……はぁ、付き合う……ですか。買い物とかはそうかもしれないですけど」

「ふっ、マジで面白いね。また来るよ」

ポカンと大口をあけたままの私は、頬を赤く染めて去って行く葉山くんの背中を見つめて、理玖に視線を移す。コレがその他大勢の女子なら飛び跳ねて喜ぶのにね。

「りんりん面倒なのに捕まったね」

「……え?捕まったの?理玖ちゃん、私、あの人、苦手なんだけど」

「はは。イッキー拒否るのりんりんくらいだよね。ま~そのうち分かるよ」
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