二度目の恋の、始め方
そのまま一度も振り返ることなく教室を出て行ってしまった彼。乱暴に閉じられた扉が、彼と私の距離を果てしなく遠いものにしているようで、思わず駆け出したくなる衝動をぎゅっと抑える。
「うっ、ふっ……ごめ、雄大……」
無情にも夕焼けは泣き崩れる私をオレンジ色に染めて、やがてそれは真っ暗い闇に呑まれて消える。
彼の優しい笑顔が大好きだった。
「凛」って私の名前を呼ぶ、低くて落ち着いたその声でさえ愛しくて「好きだよ」って抱きしめてくれる雄大はかけがえのない大切な人。そう、今でも。
……ごめんね……雄大…………。