二度目の恋の、始め方
まるで他人事の理玖は、ヘラヘラ~っとした可愛すぎる笑顔を私に向けてそんなヘンテコリンな発言をする。
また来るって言ってたけど冗談だよね。だって相手はあの毒舌冷酷男子の葉山壱樹クン、絶対有り得ないと思う。
そう思って頭の中でさっきの出来事を消去した私は、お昼休みにきょんと購買に行こうと教室を出た。
…………ところまではいつも通りなのに。
「凛、ずっと待ってるのに遅いよ。この俺をこんなに待たせるなんて、キミだから許される行為だ。普通なら考えられない」
ドアにもたれて、不機嫌そうに私を見下ろす葉山壱樹クンに驚いた。
「……えっと……何か御用ですか?」
「冷たいんだね。用が無いとキミに会いに来たらいけないわけでもあるの?」
「……いえ、そんなことは……」
有名な葉山壱樹クンが普通科に現れることが珍しいせいか、周りの女子の歓喜の悲鳴がスゴい。それでも一定の距離を保って近付かないのは、彼があまりにも女の子に対して冷たいからだってきょんが言ってた。