二度目の恋の、始め方
チラッと美月ちゃんを見ればバツの悪そうに視線を逸らして俯いてしまう。
どんな事情があるにせよ、やっぱりこの状況は美月ちゃんがあんまりだと思うから。
「友達は自分で決めます。他人のあなた達がきめることじゃないです」
「友達って葉山と?マジで言ってんの」
「コイツ馬鹿じゃない」
「どうかしてるよ」
一番先頭の女の子を筆頭に口々に文句を言い始める集団。私からすれば1人相手に大人数で、彼女達の方が馬鹿に見えるけど。
「葉山の秘密、教えてあげようか?コレを見てもまだ仲良しゴッコ続けますか~」
「……秘密?」
「やめてよっ、!いやだ!」
女の子の1人が、暴れる美月ちゃんの手首を無理矢理掴んで制服の裾を肘あたりまで捲る。そこに生々しく残るのは、美月ちゃんの白い手首に不釣り合いな無数の傷跡。
「え?」
「…………っ、」
「はは、知りたきゃ本人に直接聞けば~。また同じ事されたくなかったら宮路君にこれ以上近付かないでよね~」
そう言って笑いながら去って行く女の子達。床に座り込んでしまった美月ちゃんに駆け寄ればその大きな瞳からは大粒の涙がとめどなく流れていて、私はそれ以上、彼女に何も聞くことが出来なかった。
「………美月ちゃん」