二度目の恋の、始め方

「はは、佐渡フラれてやんの~」

「るせぇハゲ」

「ハゲてねぇ!そういう髪質だ!」

くだらない口喧嘩を始める有馬と佐渡。付き合ってられないのでほっといて足を進めようとすれば、有馬が私の腕を掴む。

「ん?」

「川嶋に話あんだけど」

「良い話?」

「すげぇ良い話。川嶋バイトしてんだっけ」

「うん。今は選抜期間中で休みだよ」

「じゃあ決まりだな。放課後、体操着で第一体育館来いよ。じゃ~な」

「え~!?」

なんとも不審な笑みを浮かべ、言うだけ言って佐渡君と競うように校舎へ消えて行ってしまった有馬。それを呆然と見送っていると隣に居たきょんが口を開いた。

「……凛。第一体育館ってバスケ部が専用で使ってる場所だよ。しかも有馬君もバスケ部だし。あそこはマネ以外、女子禁制のはずなんだけど何で凛なのかな」

「……分かんない。女子禁制なの?」

「ん~見学に来る女子が殺到して練習どころじゃなくて、今年から女子禁制になったんだって。誰が原因か分かるでしょ?」
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