二度目の恋の、始め方
私を心配そうに見下ろすきょんの言いたいコトは分かる。中学の頃もバスケ部を見学する女子のギャラリーは多かったけど禁制になるほどではなかったのに。やっぱり雄大の影響力はあまりに大きすぎる。
「今日は葉山君と自主勉の日?」
「ううん。あっちも勉強あるから」
「……そう。私も放課後部活だし、葉山君に付いて来て貰う?」
「まさか。壱樹にソコまでして貰う義理ないもん。大丈夫だよ、きょん」
そう言ってマスク越しに笑うと、納得いかなそうな表情で渋々納得してくれたきょん。結局、有馬との約束が気になって授業にあまり集中出来ないままお昼休み。
不機嫌そうな顔で普通科のA組にやってきた美月ちゃんにクラス中が大騒ぎになる。
「凛ちゃん、どういうつもり?」
そのまま窓側に座る私の席へ真っ直ぐ向かってきた美月ちゃんは、相変わらず芸能人並みの可愛すぎる顔に怒りを含んでいて、腕組みをして私を見下ろしてくる。
「へへ。これ、預かってたものだよ。美月ちゃんと一緒に食べようと思って」
「………はぁ。イツキ使うなんて、凛ちゃんって顔に似合わず意外と卑怯よね」
「ごめんね」
私が預かっているものは美月ちゃんのお弁当。壱樹に頼んで持ってきてもらったもので、それを机に置くと美月ちゃんは溜め息を吐いて真横の椅子を奪って座る。