二度目の恋の、始め方

「ちょっと凛、どういうこと?何で葉山さんがここに居るの?」

「色々あって。きょんは理玖ちゃんのところ行くんでしょ?遅れると拗ねちゃうよ」

「うん。じゃあ……」

二人分のお弁当を持ち立ち上がるきょんは、私達を振り返りながら教室を出て行く。
きょんみたいな優しい子を顎で使うなんて、理玖ちゃんは何考えてるのか分からない。今はただ、彼女が傷付かないで理玖ちゃんと別れるのを見守るしかない。

「あれが宇佐美杏子なんだ」

「きょんのこと知ってるの?」

「有名だよ。あの楠木君の次の獲物だもん。ある程度顔が好ければ、頭カラッポでも大目に見るって楠木君言ってたけど、ホントそのまんまだね」

「……そういう言い方、良くないと思う」

私の言葉に、長い睫で縁取られた瞳をで鋭く射抜いてくる美月ちゃん。腕組みをして長い足を組み替える姿はまるで嬢王様。性格は女版壱樹だよね、絶対。

「……た、食べようよ。美月ちゃん。お腹空いて、もう限界……」

「要らない。私はコレで良いの」

「それって……」

「ダイエットピル」
< 72 / 130 >

この作品をシェア

pagetop