二度目の恋の、始め方
美月ちゃんが取り出したのは小さなケース。ソコから白い錠剤を何粒か取り出して躊躇いなく一気に水と一緒に流し込む。
「そんな飲み方してると身体に良くないよ。食べないの?」
「食べたくない」
「美月ちゃん……」
「だって太るでしょ。それが分かってるのにどうして食べなきゃいけないの」
そう言って、机に広げたお弁当に一切手を付けようとしない美月ちゃんは逆に食べて太った方が良いんじゃないかって思う。
だって足なんか細過ぎて折れそうだもん。
「お弁当取りに来たんじゃないの?」
「まさか~。美月は凛ちゃんに興味があっただけだよ。あのイツキをいとも簡単に動かす凛ちゃんってどんな子なのかな~って観察しに来たの。凛ちゃんこそ私と友達になりたいってどぉゆ~魂胆?」
「魂胆なんて無いよ。美月ちゃんと友達になりたいから壱樹にお願いしただけで」
「ふぅん。壱樹ねぇ」
「そうだ。コレ、私が作ったの。良かったら取り替えっこしない?」
「はぁ?だから食べないって……」
「はいど~ぞ」
無理矢理、美月ちゃんの目の前に、今日はわりと上出来に仕上がったお弁当を広げる。卵焼きはまぁ焦げちゃってるけどあとはハンバーグもキンピラも自信作。つい頬が緩んでしまう私を美月ちゃんは険しい顔で見ていたけど、観念したのかお箸を手に取り卵焼きを口に入れる。
「……どう?」
「ちょ~マズい」
「えぇ!うそぉ……自信作なのに……」
あからさまに肩を落とす私をよそに、美月ちゃんはどんどんお箸を進めていく。