二度目の恋の、始め方
「……ごちそうさま」
五分もかからないうちに私の作ったお弁当の中身は空っぽで、驚いて美月ちゃんを見ると気まずそうに視線をそらされた。
「別に美味しいとかそんなんじゃないからね。ただ、こんな家庭地味た料理、久しぶりに食べたなって思って」
「ふふ。こんなの良いならいつでも作る」
「まぁ、凛ちゃんがそんなに作りたいなら食べてあげでも良いけど……」
可愛すぎる美月ちゃんは顔が少しだけ赤くて、それは同性の私でさえきゅんきゅんするほど。コレがツンデレというものなのかなって考えながら美月ちゃんの立派な重箱弁当を食べようとすると、後ろから伸びてきた手にメインの海老を奪われる。
「うま」
「……コラ、有馬!」
振り返ると、指をペロッと舐めて意地悪く笑う有馬の姿。佐渡君は居ないみたい。
「すげぇ弁当。川嶋が作ったの?」
「まさか。美月ちゃんのだよ」
「美月?……うわ、葉山さんじゃん!!お前等、まさか友達なの!?あのっ俺、有馬 心(アリマ シン)って言うッス!心って書いてシン!宜しく頼んます」
「………ウザ」
「………はは。有馬、落ち着こうね」
テンパる有馬に怪しげな視線を投げかける美月ちゃん。そう言えば前に美月ちゃんを可愛すぎる天使だって大騒ぎしてたっけ。