二度目の恋の、始め方
ムードメーカー的な存在の有馬はクラスでも人気者で、Sクラスの御三家ほどじゃないけど一部の女子には騒がれてる。そんな有馬が差し出した手を無視し、まるで眼中にない美月ちゃんは大きな欠伸をして窓の外に視線を移す。行き場のない手を残念そうに見つめる有馬は、なんだか可哀想。
「大丈夫?」
「……お、おう。それより川嶋、放課後の約束覚えてんだろな」
「覚えてるよ。一体何企んでるの?」
「秘密~」
「怪しすぎるよね。それに第一体育館って女子禁制じゃないの?」
「ああ。今年からだってさ。……ったくミヤの奴、やってくれるよな~マジで~」
有馬の話を聞いてると、どうやら女子禁制を言い出したのは雄大らしい。英は進学校でありながらスポーツにも力を入れていて、特にバスケ部は全国でも指折りの強豪。バスケ推薦で英に入った雄大も私と同じように、死に物狂いなのかもしれない。
「でもミヤはなんつ~か、別格」
「…………」
「一年でレギュラーだし先輩からも一目置かれてる。もともと才能のある奴は大した努力もしねぇで簡単にレギュラー取れんだから良いよなぁ……」
「それは違う!!!」
いきなり私が大声を出して立ち上がったものだから周りのクラスメートが驚いてこっちをみる。有馬も美月ちゃんも。