二度目の恋の、始め方
……だって、知ってるもん。
雄大がどれだけ血の滲む努力をしてきたのか。部員達が帰った後も必死に自主練して、人一倍練習する姿をそばで見てきたから、何も知らない有馬にそんな軽はずみなこと言われたくなかったんだ。
「んだよ川嶋……」
「ごめん。でも、最初から何でも出来ちゃう人なんていないと思うよ?そういう人はきっと誰よりも努力してるんだよ」
「そうかぁ~?」
「有馬も頑張ればレギュラー取れるよ!」
ふぅ危ない危ない。こんな時、有馬が鈍感で助かった。脳天気に喜ぶ有馬に感謝しながら席につくと、机に頬杖をついて私をジッと観察する美月ちゃんと瞳がぶつかる。
「……み、美月ちゃん?」
「凛ちゃんってさ~好きな人いるんだね」
「えっ、」
「ふふっ。分かりやす~い。別に良いよ。今は凛ちゃんが誰を好きなのか、深く追求するつもりないから。その代わり」
「その代わり?」
「イツキをズタズタに傷付けてよ。二度と立ち直れないくらい、残酷にね」