二度目の恋の、始め方
「すげぇじゃん川嶋!あのオニせんが素直にマネとして認めるなんて。
もしかしてバスケやった事あんのか?」
「経験は無いけど……」
「にしてはやけに詳しいような」
怪しげな視線を投げてくる有馬に、慌てて話題を切り替える。雄大と付き合ってた頃に、彼の好きなものは何でも知りたいし覚えたくて、暇さえあればバスケの公式本を読んでたからルールくらいなら分かるけど。いきなりマネージャーと言われても。
「だっ男バスにマネージャー居ないの?」
「居たんだけど、オニせんが辞めさせたんだよ。ここはアイドルのコンサートじゃねぇ、やる気が無いなら帰れ!って」
「そうなんだ」
「とにかく頼むよ。じゃないと俺の雑用が増えて練習どころじゃなくなんだよ」
悲願するように頭を下げる有馬。その必死さに根負けし「分かったよ」と返事をすれば、安心したように笑顔を浮かべる。
「女神!マジでさんきゅ~!この恩は一生忘れねぇからな」
「その恩はスタメンになることで返してね」
「川嶋~イイ奴だなお前!ちょっと待ってろ、キャプテンに紹介すっから」
そう言って跳ねるようにどこかへ走って行ってしまった有馬。簡単に承諾してしまったけど私に務まるの?不安を抱きながら邪魔にならないようコートの隅へ移動する。