二度目の恋の、始め方
しばらくしてホイッスルが鳴りオニせんの「10分休憩~」の号令がかかると部員達は汗だくになりながらその場に倒れ込む。その光景はまるで地獄絵図。
唖然としているせいで、近付いてくるバッシュの足音に気付かなかった。
「………は?何してんの、お前」
少し息の上がった低い声。黒のティーシャツに七分丈のグレーのスエット素材のハーフパンツ姿。汗で濡れた茶髪をタオルで軽く拭く雄大は私を見るなり驚いた表情で。
俺とコイツはもう一切、関係ねぇ。
「……っ、」
そう言われたばかりなのに、こうしてまた雄大と関わってしまうことに気まずさを隠せない。目もまともに合わせられなくて空中をさ迷わせると、不信がる雄大の後ろから長身の男子と歩いて来る有馬の姿が。
「川嶋~、お待たせぇ。あれ?ミヤ、川嶋と知り合いなの?」
「……いや」
「ふ~ん。あ、川嶋。こちらが我ら男バスのキャプテン、小泉先輩。先輩、コイツが新しいマネージャーの川嶋ッス」
「は!?マネージャーってお前……」
「ふつつか者ですがお願いします!」
驚く雄大の声を遮り、目の前に聳え立つ190センチ越えの小泉先輩に頭を下げる。