二度目の恋の、始め方


「これ、いつから洗ってないんだろう」


キッチンのシンクに置かれた大量の洗い物。異臭漂うお皿を洗剤で一気に洗う。ここにも乾燥機が完備されてるから洗い終えてスイッチを押すだけ。
いつの間にか居なくなってる雄大に、掃除機の場所を聞いておけば良かったなんて考えながらゴミ袋を持って部室を片付ける。

イヤらしい本は全部捨てちゃおう。

ようやく埃まみれのフローリングの床が見えてきたので掃除機を探していると、キッチンの奥にドアがあるのを発見。
躊躇いなくそこを豪快に開けると、


「……きゃっ」


真っ白い湯気と一緒に現れた、上半身裸の雄大の姿に、悲鳴を上げて狼狽えた。そう言えば奥がシャワールームって忘れてた。

「覗き?」

「ち、ちが……、掃除機探してて……」

「ああ、そこの収納庫の中」

バスタオルで濡れた髪を拭きながら、平然と上半身裸でキッチンの冷蔵庫からミネラルウォータを取り出して飲む雄大の身体は、中学の頃と比べて随分引き締まってる。それでも無駄な脂肪は一切無くて綺麗。

「見られすぎて穴あきそう。終わったか?」

「……あ!ごめ、もうちょっと……」

「だいぶ片付いたじゃん。相変わらず、家事させたらお前の右にでる奴はいねぇな」
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