二度目の恋の、始め方
だいぶ片付いた部屋を見渡して、感心したようにそう呟いた雄大。最新型の掃除機をあてながら、雄大に褒めて貰えたとが嬉しくて自然と笑みがこぼれる。
だから少しだけ、調子に乗りすぎたんだ。
「雄大、髪濡れてるよ」
「あ?あ~、ほっとけば乾くだろ」
「ダメ!風邪ひくよ。乾かしてあげる」
「いいって」
「大丈夫。ほら座ってね」
付き合ってた頃によくしていた行為だから何の躊躇いもなくフローリングに転がっていたドライヤーを手にとって、雄大の濡れた髪に背伸びして触れようとしたその時、突然、その手を乱暴に掴まれて、壁に身体を押し付けられた。
「……い……った、なに!?」
「ウゼェ」
「え?」
「昨日言ったよな。俺とお前はもう赤の他人だって。それを望んだのはお前自身だろ?なのになんで、簡単に触れてくんだよ。なんで……俺の前から消えねぇんだよ」
「………雄大」
「お前を恨んでねぇとでも思ってんのか?あの時、俺がどんな気持ちでお前を手放したか……」
バスタオルを頭からかぶったまま、怒りを含んだ瞳で私を睨む雄大。急に近付いたその距離に心臓がバクバク音を立てる。そんなことはお構いなしの雄大の上半身は裸で、掴まれた手首が痛さを増す。
「ご、ごめ……軽々しかった……よね。ゆ、許して……雄大……」