二度目の恋の、始め方
軽率だった。あの時、私が雄大をどれだけ傷付けたか分かってたはずなのに。自分の浅はかな行動が許せなくて、瞳いっぱいに涙を溜めてグッと唇を噛み締める。
「凛、こっち向け」
「ごめん、なさい……ごめ……んっ……!」
息つく暇もなく、勢いよく塞がれた唇。
ずっとずっと求めてた雄大の温もりを離したくなくて、背の高い彼の首に腕を回して必死に抱き寄せる。離れてた時間を埋めるように何度も何度もキスを繰り返した。
「……んっ、ハァ………」
昔と変わらない優しいキス。
昔と変わらない、雄大の香り。
「……っんで、拒否んねぇんだよ」
苦しそうにそんな言葉を呟いた雄大の唇が名残惜しそうに離れると、肩を上下させる私の身体を優しく引き寄せて、その広い胸に顔をうずめた。裸越しに伝わる雄大の鼓動。温かくて、すごく落ち着くんだ。
この甘い空気にいっそのこと全部話してしまおうかなんて頭をよぎるけど、いつも宮路院長の声が私にストップをかける。
『お父さんを取るか、息子を取るか。賢いキミなら優先順位くらい分かるだろう』