二度目の恋の、始め方
雄大の胸を押して、彼から離れる。私を抱き寄せてた腕は力無く落ちてゆき、雄大の悲しそうな表情が私の脳裏に焼き付いた。気付けば自然と、彼の頬に手が伸びる。
「そんな顔させるつもりなかったのに」
「よく言うよな。こんな顔させてんのはお前なのに。マジで、俺をどんだけイラつかせれば気が済むんだよ」
「……そうだよね。ごめんなさい」
「それはもう聞き飽きた。ごめんは良いから、もう一回触らせろ。全然足りねぇ」
「え?ゆ、雄大、待ってっ、………」
「待てねぇ」
そう言って、私の顎を指先で持ち上げて綺麗な顔を近付けてくる雄大。
そんな色っぽい表情するなんて、卑怯だよ。間近で見るとより一層、綺麗過ぎる彼の美貌に酔いしれそうになる。もう少しで唇が触れ合いそうになったその時、
「あ~、腹減って死にそう~」
「オニせんの奴、あれはホンモンの鬼だオニ。俺等を人と思ってねぇだろ絶対~」
そんな声が聞こえて、ドアノブを回す音。今の私は上半身裸の雄大に壁ドンされている状態。もし部員の人達に見られたら……と思うと背筋に冷たいモノが流れ
、ドアが開くと同時に目の前の雄大を力いっぱい押し飛ばした。
「あ。」
「………ってぇ」