二度目の恋の、始め方

しまった。やりすぎたかも。そう思った時にはすでに手遅れで、さっき集め終わった大量のゴミ袋の中に倒れ込んだ雄大に、今度は別の意味で冷や汗が流れた。

「おお!めちゃ綺麗になってる!つか、ははは!にやってんだ雄大~、ドンくせぇ」

「バスケ部のエースが見てられねぇな」

「俺のエロ本!」

「あ、捨てました」

ゾロゾロ、練習終わりの部員さん達が綺麗になった部屋に歓喜の声を上げながら入ってくる。真っ黒いオーラを放つ雄大は、その綺麗な顔に怒りを含んでいて。
ゴミの山から立ち上がると、無言で再びシャワールームに消えて行った。


………ごめん、雄大。


でも、キス、しちゃったんだよね、私たち。唇に手を添えて、まだほのかに残る雄大の温もりに酔いしれてると、爽やかな小泉先輩が長身をかがめて私の顔を覗き込む。

「川嶋さん。部室、綺麗にしてくれてありがとう。こんなに清潔な部室、何ヶ月ぶりかに見るよ」

「……あ、いえ」

「皆に紹介しておくね。来月から男バスのマネージャーについてくれる川嶋凛さんだよ。仲良くしてあげて。女の子だからって、くれぐれも変な気は起こさないように」

変な気?小泉先輩の言葉に疑問を抱きつつ部員の皆さんに軽く頭を下げると、モノスゴイ雄叫びを上げて握手を求められた。


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