I do does not matter.
「ありがとう。待っているよ」
「はい、また今度」
優しい笑顔で言った店主に返事をして店を出る。
外に出ると、空はもう薄暗くなっていて、あの店に長い時間いたことを知った。
「なんか不思議な店だったねぇ」
マスターの言葉に軽く頷いて手の中の狼を見つめる。
やっぱり何故か目が合っているような気がして小さく笑う。
「これからよろしくな、小さな狼さん」
そっと狼を撫でて左耳につける。
「カグヤ、似合ってる」
「ありがと」
綺麗に微笑むマスターに礼を言って手を繋ぐ。
なんだか今は良い気分だ。
自分からマスターと手を繋ぐなんてありえないから。
「今日もうちに泊まってく?」
あたしから手を繋いだことが余程嬉しかったのか満面の笑みでそう尋ねてくるマスターに苦笑する。
「どうしようかな」
そんなマスターを焦らすようにそう言ってやった。