触れない温もり
まずい!

顔見られてたか!?

初めてなんだから気を引き締めておくべきだった!!
少し息苦しいけどマスクをつけておくべきだった!!


そんな後悔の念が渦巻くなか、よろよろと路地裏に隠れ、軽くビルの壁にもたれる。

路地裏は薄汚れていて、隣はパン屋なのか、小麦粉らしき袋が積み重なっている。


最悪だ………

高校退学とかマジねぇぞ……


「あぁ……親になんて言おう……」

「ねえ」

「言い訳なんてできねぇぞ……」

「ねえってば」

「家追い出されて住む場所って言っても金ねえし……」

「おーい、聞こえてますー?」

「泊めてくれる友達もいねぇし」

「ふっ……ぼっち乙wwww」

「うっせぇよ!!ぼっちで何が悪い!!!
って………へ?」



ーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?


そこにはさっきかつあげしそこねた少年が足元にしゃがみこんで俺の顔を上目遣いでのぞき込んでいた。



まてまてまてまて。

さっきまでいたか、こんなやつ!?

追いかけてきたのか!!

なんで気づかなかった!?

かげ薄すぎだろ!



「すぅ……はぁ……」

ひとまず息を吸い……吐き……

そして声帯を震わせる。


「もう一度言うぞ?ちゃんと聞いとけよ?」

「はい。なんでしょう」



「………へ?」
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