触れない温もり
「ここだ」


そう連れてこられたのは、幼い頃から近寄るなと言われてきたヤクザの城。


「えー……と?黒桐サン?」

まて、この家ということは……?


「あれ?いってなかったか?
皆が騒ぐから知ってるもんだと思ってたが」


「…いや俺、あんまり教室から出ないタイプだからな」

黒桐みたいなやつに絡まれると面倒だし。



「じゃあ、黒桐会って聞いたことねぇか」

なぜか誇らしげに、にぃっと笑う。



「あ、あの県下一のヤクザの組……」

ヤクザだが仁義は守る奴らばかりだと聞いたことはある。

が、ヤクザには変わりないから今まで怖くて敬遠していた。




「おいおい警戒するなよ」

ひらひらと手を振る黒桐。


「そんな顔に出てたか?」


「おう、出てたぞ
まあ、あれだ。世間がいうほど悪いヤクザばっかりじゃねぇぜ?
まあ、信用できねぇならここでーーー」


「いいよ!俺も入る」

ここで拒否したら黒桐に悪い。


「おう。」


そう言って黒桐はヤクザの世界へと導いた。
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