触れない温もり
「部屋って……………広っ!?!?」
1DKのマンションの一室よりはるかに広い。
それより目を引いたのは、部屋の内装だ。
家の外見が純和風の豪邸で、さっきの客間も畳にふすまと和風な作りだったのに対して、黒桐の部屋は超洋風だ。
なんて言ったらいいんだろう…
床にはふわっふわの絨毯、金色の縁のきらびやかな窓には深い赤と深い緑の絨毯のようなカーテンがふわっとかかっている。
その窓辺には不思議の国のアリスのお茶会に出てくるような白い丸いテーブルに、それとセットになっている白い椅子が2つ。
何より驚いたのは、部屋の中心にあるお姫様ベッドだ。
本当はなんていうか知らないが、ベッドの四方をカーテンで囲っている物だ。
女子なら誰でも憧れる代物だろう。
「いいだろう!この部屋!
ちょっと頼んでこの部屋だけ特別にメーキングしてもらったんだぜ!」
「だ…誰の趣味?」
「もちろん俺だ」
誇らしげにドヤ顔してる黒桐には悪いが、正直、趣味が悪い。
なんでこう…もっといい部屋にできなかったのだろうか。
「まあまあ、座れよっ!」
無言でつったってる俺に部屋に見とれてるとでも思ったのか嬉しそうに声を弾ませる。
「うん…」
男子の部屋に来て椅子に座るとか初めてだ。
基本地面だもんな……
「あ!紅茶でいいか?」
こ う ち ゃ
天下の不良が紅茶か!
いや、美味しいが……
「うん」
まあ、断れるわけ無い。
「おい!紅茶2つ!」
「はい!かしこまりました!」
黒桐がドアに向かって叫んだかと思うと、先ほどの男達とは違う女の人の声がする。
なんだこの家のシステム…
カフェか
ーーーコンコンッ
ドアのノックの音…
紅茶が来るにしては早くないか?
「若。紅茶持ってまいりました。」
「おう!ありがとな!入っていいぞ」
「失礼します」
そう言って入ってきたのは綺麗な茶髪を頭の後ろで大きいお団子にしたメイド。
メイド喫茶にいるようなミニスカートのキャピキャピしてるのとは違って、ロングスカートで清楚だ。
「若の…お友達ですか?」
ぼーっとメイドを眺めていると、その視線を気にしたのか、俺の前に紅茶を置いていたメイドが少し恥ずかしそうに尋ねてきた。
「あ!は、はい!はい?ん?」
「おいおいー、もうダチだろー?もっとおっきい声で言えよー」
「ご、ごめん…」
「じゃあ、若のお友達…ということで……?」
「はい。そうゆうことになります」
「へー…で?お互いになんて呼びあってるんですかっ!?」
そこ?
そこ聞くものなのか?
「え…と、俺は黒桐って呼んでます…」
「俺は柏木だ」
するとメイドは不服そうな顔をする。
「ええーっ!もっとフレンドリーな呼び方しないんですか!?」
「ふ…ふれんどりぃ!?」
ちらっと黒桐を見て助けを求めるが、黒桐は「またか」とでもいうような顔で黙っている。
「柏木くん、下の名前なんて言うんですか?」
「羚です。羊へんに命令の羚で。」
「じゃあー、例えば、若は柏木くんのことを『羚』ってカッコよく呼んで、柏木くんは若のことを『れんとくん…』って恥ずかしげに呼んでください!」
ーーーーーーーー!?
「まじですか」
「まじですよ」
いやいやいやいや、そんなドヤ顔で言われても……
「ちょっ…ちょっと黒桐!?」
「ほら!ダメですよ!れんとくんって呼ばないと!」
そんな近づいて顔覗き込まれても困りますって!
「え…ええ!?ちょっとどーにかならないの!?」
「しゃーねぇ、一回やるぞ。」
「へ!?」
「こいつはこうなったらやるまで帰らねぇ」
あー…わかる気がする。
「出来れば手をつないで横に並んでお互い目線を合わせて欲しいです。」
………何も言わない何も言わない………
「よしやるか」
「う…うん」
立てって手をつなぐ。
黒桐、手冷たいな…
そして顔を合わせる。
身長差的に黒桐が俺を見下ろす形になる。
こう並ぶと黒桐がすらっとしすぎて足の長さの違いが目立ってしまう…
「さぁーて、期待してますよ!
さん!にぃー!いち!アクション!」
ーーーぱちんっ
「羚」
「れ…れんとくん…」
「はーい、カット!
ご馳走様でした!」
何その満面の笑み…
こんなんでいいのか。
「それでは私は戻らせていただきますね」
そう言ってドアを開け帰ろうとするメイド。
が、その瞬間…
すっこぉーーん!
いい音がなったと思うとメイドは頭を押さえうずくまっていた。
「いっ……てててて」
「いててててじゃないでしょう!」
そこには腕を組んで仁王立ちをしている、白髪まじりのメイドがいた。
「見島さん、またあなたやりましたでしょ」
「う…ご、ごめんなさい……つい…」
冷ややかな声に、目を泳がせている
「つい、なんですか?」
まだ責めるのか、このメイドは
「つい…美形の男の子が2人でいると妄想が止まらなくなって……」
いまさらっとイケメンって言われた!!
って喜んでる場合じゃない
「まあ、いいでしょう。以後気をつけるように」
あ、まじか。それでいいのか。
「それでは失礼いたしました!」
二人のメイドはペコッと頭を下げて部屋を出ていった
1DKのマンションの一室よりはるかに広い。
それより目を引いたのは、部屋の内装だ。
家の外見が純和風の豪邸で、さっきの客間も畳にふすまと和風な作りだったのに対して、黒桐の部屋は超洋風だ。
なんて言ったらいいんだろう…
床にはふわっふわの絨毯、金色の縁のきらびやかな窓には深い赤と深い緑の絨毯のようなカーテンがふわっとかかっている。
その窓辺には不思議の国のアリスのお茶会に出てくるような白い丸いテーブルに、それとセットになっている白い椅子が2つ。
何より驚いたのは、部屋の中心にあるお姫様ベッドだ。
本当はなんていうか知らないが、ベッドの四方をカーテンで囲っている物だ。
女子なら誰でも憧れる代物だろう。
「いいだろう!この部屋!
ちょっと頼んでこの部屋だけ特別にメーキングしてもらったんだぜ!」
「だ…誰の趣味?」
「もちろん俺だ」
誇らしげにドヤ顔してる黒桐には悪いが、正直、趣味が悪い。
なんでこう…もっといい部屋にできなかったのだろうか。
「まあまあ、座れよっ!」
無言でつったってる俺に部屋に見とれてるとでも思ったのか嬉しそうに声を弾ませる。
「うん…」
男子の部屋に来て椅子に座るとか初めてだ。
基本地面だもんな……
「あ!紅茶でいいか?」
こ う ち ゃ
天下の不良が紅茶か!
いや、美味しいが……
「うん」
まあ、断れるわけ無い。
「おい!紅茶2つ!」
「はい!かしこまりました!」
黒桐がドアに向かって叫んだかと思うと、先ほどの男達とは違う女の人の声がする。
なんだこの家のシステム…
カフェか
ーーーコンコンッ
ドアのノックの音…
紅茶が来るにしては早くないか?
「若。紅茶持ってまいりました。」
「おう!ありがとな!入っていいぞ」
「失礼します」
そう言って入ってきたのは綺麗な茶髪を頭の後ろで大きいお団子にしたメイド。
メイド喫茶にいるようなミニスカートのキャピキャピしてるのとは違って、ロングスカートで清楚だ。
「若の…お友達ですか?」
ぼーっとメイドを眺めていると、その視線を気にしたのか、俺の前に紅茶を置いていたメイドが少し恥ずかしそうに尋ねてきた。
「あ!は、はい!はい?ん?」
「おいおいー、もうダチだろー?もっとおっきい声で言えよー」
「ご、ごめん…」
「じゃあ、若のお友達…ということで……?」
「はい。そうゆうことになります」
「へー…で?お互いになんて呼びあってるんですかっ!?」
そこ?
そこ聞くものなのか?
「え…と、俺は黒桐って呼んでます…」
「俺は柏木だ」
するとメイドは不服そうな顔をする。
「ええーっ!もっとフレンドリーな呼び方しないんですか!?」
「ふ…ふれんどりぃ!?」
ちらっと黒桐を見て助けを求めるが、黒桐は「またか」とでもいうような顔で黙っている。
「柏木くん、下の名前なんて言うんですか?」
「羚です。羊へんに命令の羚で。」
「じゃあー、例えば、若は柏木くんのことを『羚』ってカッコよく呼んで、柏木くんは若のことを『れんとくん…』って恥ずかしげに呼んでください!」
ーーーーーーーー!?
「まじですか」
「まじですよ」
いやいやいやいや、そんなドヤ顔で言われても……
「ちょっ…ちょっと黒桐!?」
「ほら!ダメですよ!れんとくんって呼ばないと!」
そんな近づいて顔覗き込まれても困りますって!
「え…ええ!?ちょっとどーにかならないの!?」
「しゃーねぇ、一回やるぞ。」
「へ!?」
「こいつはこうなったらやるまで帰らねぇ」
あー…わかる気がする。
「出来れば手をつないで横に並んでお互い目線を合わせて欲しいです。」
………何も言わない何も言わない………
「よしやるか」
「う…うん」
立てって手をつなぐ。
黒桐、手冷たいな…
そして顔を合わせる。
身長差的に黒桐が俺を見下ろす形になる。
こう並ぶと黒桐がすらっとしすぎて足の長さの違いが目立ってしまう…
「さぁーて、期待してますよ!
さん!にぃー!いち!アクション!」
ーーーぱちんっ
「羚」
「れ…れんとくん…」
「はーい、カット!
ご馳走様でした!」
何その満面の笑み…
こんなんでいいのか。
「それでは私は戻らせていただきますね」
そう言ってドアを開け帰ろうとするメイド。
が、その瞬間…
すっこぉーーん!
いい音がなったと思うとメイドは頭を押さえうずくまっていた。
「いっ……てててて」
「いててててじゃないでしょう!」
そこには腕を組んで仁王立ちをしている、白髪まじりのメイドがいた。
「見島さん、またあなたやりましたでしょ」
「う…ご、ごめんなさい……つい…」
冷ややかな声に、目を泳がせている
「つい、なんですか?」
まだ責めるのか、このメイドは
「つい…美形の男の子が2人でいると妄想が止まらなくなって……」
いまさらっとイケメンって言われた!!
って喜んでる場合じゃない
「まあ、いいでしょう。以後気をつけるように」
あ、まじか。それでいいのか。
「それでは失礼いたしました!」
二人のメイドはペコッと頭を下げて部屋を出ていった