触れない温もり
「……へ?」

「今日何回目ですかー?その情けない声」

やれやれというふうにその自称幽霊は首を振った。


でも、こういう返答しかできないだろ?

そんな嘘みたいなこと言う理由が分からねぇ……


……あ!


「分かった!嘘か!大丈夫だぜ。見た目こんなだけど、別にボコろうとか思ってねぇから」

手を降って敵意がないことを表す。


「知ってますよ、そんなこと。カツアゲする時もちょっとためらってたじゃないですか」

ちっ…バレてたか……

「まあ、理由が俺にビビってじゃないことは分かった。
んで?証拠は何処にあるんだよ?証拠なしじゃあ信じられねぇぞ?」


にやっと笑い問いかける。


これで俺の勝ちだな!

なんの勝負か分からんが。



すると、自称幽霊少年は不思議そうに首をかしげる。


「さっきから気づかないんですか?僕の足元に。」

「足元……?」


まさか足がないのか……?
そんなベタな!?

そう思いつつそっと幽霊少年の足元を見る。


「なんだ足あるじゃねぇか……」

安堵の息を漏らす。


すると呆れたように自称幽霊(ryが

「誰も足がないなんて言ってないじゃないですか。
さらに足元っていったのに……貴方の目は節穴ですか?」


「ちっちげぇよ!てか、足元がほんとにどうしたんだよ!答え教えろy……あ。」


そこで気づいた。


その幽霊少年の足に差し込む夕日が、足を透き通り地面を照らしているということに。

だから、もちろん影なんてものはない。


「ご理解頂けました?」


「あぁ……」


信じるしかない…のか……?

いや、でもそんな幽霊なんて非現実的なもの…
いやいやでもそう思わないとこの現状を説明できねえ!!


「おーい、大丈夫ですかー?」


あぁ、大丈夫じゃないかもしれねぇ
幽霊とか、なんかそんなのに付きまとわれるようなことしたっけ……

あ…幽霊をカツアゲしたからか…


……それより………さっきから心の奥でずっともやもやしてたんだけど、なんだっけ………


「おーい!また自分の世界に入っちゃってますよー!おーい!」


………なんだっけなぁ…
すっごく重要だった気がする……


「ちょっとー?見えてますかー?」


「見えてるよー。……見え……みえ……あっ!!!」





「なんで俺、幽霊見えてんの!?」
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