触れない温もり
……だだだだだだだだだだだだだだだだ
ーーキィ…ーーーバタンッ
ーードサッ
猛スピードで階段を駆け上がり、部屋に入ってベッドに倒れ込む。
「はあ……はあ……はあ……怖かった………はあ…」
「羚くん、あなたは馬鹿ですか?」
息切れが止まらない俺に葵の容赦のない一言。
「……はぁ、言い返すのもめんどくせぇわ………」
「まあまあ落ち着いてください。お茶とかは持ってこれませんけど」
誰のせいだよ。
.*・゚数分後.゚・*.
「ふう……」
やっと落ち着いてきた……
ベッドに座り直し、床でなぜか正座をしている葵を見て、足と手を組む。
「さて、いろいろ話してもらうために来てもらったわけだが」
「唐突ですね」
「うるせー」
「とりあえず、今から僕は質問攻めにされると」
「あながち間違ってはないが、その言い方やめてくれ………」
もう…話が進まねぇ……
「はぁ…話進めていいか?」
「僕はいつでも準備万端ですよ?」
「あっそ。んじゃあまず、名前は?年齢は?どこに住んでんの?」
「出会い厨ですか」
ケラケラと笑いながら葵が指摘する。
「おい。せめて警察と言え」
「はいはい。」
やれやれとでもいうように肩をすくめる。
「桜田 葵(さくらだ あおい)。16歳…なはず……。この姿になってからはあのあたりに。生きてる時のことは言いたくない」
「なるほどねぇ……今思えばこの情報いらねぇな」
「なら聞かないでください」
「まあまあまあまあ、そんなジト目で見るなよー」
ひらひらと手を振り次の質問へ進むことにする。
「じゃあ、次の質問いいか?」
「はい。今度は意味のある質問でおねがいします」
「意味あるに決まってんだろ?
じゃあ、今まで自分以外の幽霊にはあったことがあるのか?」
「……ありますよ…。ありますけどまともに話ができませんでした。」
少し寂しそうにそう呟く。
「どしたんだよ。そいつがどうかしたのかよ。」
「………はい。死にたくて自殺した女の人がいたのですが、幽霊としてこの世界に戻ってきてしまって、
『なんでここまでしてこの世界にいなきゃいけないの?』
って問いただしながら、何回も何回もスカイツリーに上がっては落ちてを繰り返してました。」
「う……あ……
それ、痛くないのか?
それより、幽霊って死なないんだな。」
「落ちてる途中に気を失うみたいですけど、落ちても「いててて」ですんでました。
怪我なんてありませんし。
もう死んでるから死ぬわけ無いですよ」
「そんなものなのか」
「そんなもんなんです。
実際、僕も死のうと思って海に落ちてみましたが見事に透き通って死ぬどころか、海中散歩できましたよ。
綺麗な魚がいっぱいでした」
………なんだ、この呑気な自殺は……
あ!そういえば、重要なこと聞き忘れた!
「葵はなんで死んだんだ?
良くある話では、生きてる頃に未練があるやつが霊になるんだろ?」
「………」
静寂
「おい…聞いてるか……?おいーー」
「生きてる頃の話は言いたくないっていったじゃないですか。」
うつむいた葵は、いきなり今まで聞いたことのないような低い声を発した。
眼鏡の奥の前髪で少し隠れた目は鋭く俺を睨みつけていた。
それは、背筋の奥の奥まで凍らされるような感覚。
「あ…ご、ごめん……」
声がちゃんとでない…
なぜか声が掠れる。
ひと呼吸おいてもう一度。
「……ごめん。そんなに簡単に聞いちゃダメな話だった……よな。
答えは、話せる頃でいいから。」
「うん…こちらこそごめんなさい………
やっぱり思い出したくないこといっぱいあるから」
「うん……」
再び訪れる静寂
やばい……沈黙がつらい……
乾いた口を潤すように唇を舐める。
気まずさから逃れるには……
話題……変えるか………
「そ、そういえば、他に自分の事見えてるなーこいつっていう人いなかったのか?」
お願いだ。この空気、変わってくれ
「羚くんが初めてですよ……
ほんとに、かつあげされるとき、誰に向かってしてるのかよく分かんなかったですし」
葵も乗ってくれたようで、気まずい空気は去った
……よかった……
「それで、確認のためについてきてたのか……
なるほどなぁ…」
目を閉じ頷く。
「いや、違いますよ?」
「え?」
目を開き前を見ると、葵は首を少しかしげてこちらを見ていた。
「え?だって、始め、追ってきたのか?って聞いたらそこはスルーだったじゃん」
「別に僕は肯定も否定もしてないですよー?
それに、あの時あなたが僕を見れていることにかなり動揺してて、話なんてそんなに記憶に残ってないですよ」
「あれ、動揺してたのか?」
「してましたよ、かなり」
初めて出会った時のことを思い出す。
でも、
「分かんねぇわ」
前髪で目があんまり見えないせいか?とか思いつつ話を戻す。
「で、追ってきたんじゃないとしたらどうして俺の前に現れたんだ?」
「どちらかといえば、やってきたのは羚くんの方ですよ」
ん?
「だって、あの路地裏…僕の住処なので」
ーーキィ…ーーーバタンッ
ーードサッ
猛スピードで階段を駆け上がり、部屋に入ってベッドに倒れ込む。
「はあ……はあ……はあ……怖かった………はあ…」
「羚くん、あなたは馬鹿ですか?」
息切れが止まらない俺に葵の容赦のない一言。
「……はぁ、言い返すのもめんどくせぇわ………」
「まあまあ落ち着いてください。お茶とかは持ってこれませんけど」
誰のせいだよ。
.*・゚数分後.゚・*.
「ふう……」
やっと落ち着いてきた……
ベッドに座り直し、床でなぜか正座をしている葵を見て、足と手を組む。
「さて、いろいろ話してもらうために来てもらったわけだが」
「唐突ですね」
「うるせー」
「とりあえず、今から僕は質問攻めにされると」
「あながち間違ってはないが、その言い方やめてくれ………」
もう…話が進まねぇ……
「はぁ…話進めていいか?」
「僕はいつでも準備万端ですよ?」
「あっそ。んじゃあまず、名前は?年齢は?どこに住んでんの?」
「出会い厨ですか」
ケラケラと笑いながら葵が指摘する。
「おい。せめて警察と言え」
「はいはい。」
やれやれとでもいうように肩をすくめる。
「桜田 葵(さくらだ あおい)。16歳…なはず……。この姿になってからはあのあたりに。生きてる時のことは言いたくない」
「なるほどねぇ……今思えばこの情報いらねぇな」
「なら聞かないでください」
「まあまあまあまあ、そんなジト目で見るなよー」
ひらひらと手を振り次の質問へ進むことにする。
「じゃあ、次の質問いいか?」
「はい。今度は意味のある質問でおねがいします」
「意味あるに決まってんだろ?
じゃあ、今まで自分以外の幽霊にはあったことがあるのか?」
「……ありますよ…。ありますけどまともに話ができませんでした。」
少し寂しそうにそう呟く。
「どしたんだよ。そいつがどうかしたのかよ。」
「………はい。死にたくて自殺した女の人がいたのですが、幽霊としてこの世界に戻ってきてしまって、
『なんでここまでしてこの世界にいなきゃいけないの?』
って問いただしながら、何回も何回もスカイツリーに上がっては落ちてを繰り返してました。」
「う……あ……
それ、痛くないのか?
それより、幽霊って死なないんだな。」
「落ちてる途中に気を失うみたいですけど、落ちても「いててて」ですんでました。
怪我なんてありませんし。
もう死んでるから死ぬわけ無いですよ」
「そんなものなのか」
「そんなもんなんです。
実際、僕も死のうと思って海に落ちてみましたが見事に透き通って死ぬどころか、海中散歩できましたよ。
綺麗な魚がいっぱいでした」
………なんだ、この呑気な自殺は……
あ!そういえば、重要なこと聞き忘れた!
「葵はなんで死んだんだ?
良くある話では、生きてる頃に未練があるやつが霊になるんだろ?」
「………」
静寂
「おい…聞いてるか……?おいーー」
「生きてる頃の話は言いたくないっていったじゃないですか。」
うつむいた葵は、いきなり今まで聞いたことのないような低い声を発した。
眼鏡の奥の前髪で少し隠れた目は鋭く俺を睨みつけていた。
それは、背筋の奥の奥まで凍らされるような感覚。
「あ…ご、ごめん……」
声がちゃんとでない…
なぜか声が掠れる。
ひと呼吸おいてもう一度。
「……ごめん。そんなに簡単に聞いちゃダメな話だった……よな。
答えは、話せる頃でいいから。」
「うん…こちらこそごめんなさい………
やっぱり思い出したくないこといっぱいあるから」
「うん……」
再び訪れる静寂
やばい……沈黙がつらい……
乾いた口を潤すように唇を舐める。
気まずさから逃れるには……
話題……変えるか………
「そ、そういえば、他に自分の事見えてるなーこいつっていう人いなかったのか?」
お願いだ。この空気、変わってくれ
「羚くんが初めてですよ……
ほんとに、かつあげされるとき、誰に向かってしてるのかよく分かんなかったですし」
葵も乗ってくれたようで、気まずい空気は去った
……よかった……
「それで、確認のためについてきてたのか……
なるほどなぁ…」
目を閉じ頷く。
「いや、違いますよ?」
「え?」
目を開き前を見ると、葵は首を少しかしげてこちらを見ていた。
「え?だって、始め、追ってきたのか?って聞いたらそこはスルーだったじゃん」
「別に僕は肯定も否定もしてないですよー?
それに、あの時あなたが僕を見れていることにかなり動揺してて、話なんてそんなに記憶に残ってないですよ」
「あれ、動揺してたのか?」
「してましたよ、かなり」
初めて出会った時のことを思い出す。
でも、
「分かんねぇわ」
前髪で目があんまり見えないせいか?とか思いつつ話を戻す。
「で、追ってきたんじゃないとしたらどうして俺の前に現れたんだ?」
「どちらかといえば、やってきたのは羚くんの方ですよ」
ん?
「だって、あの路地裏…僕の住処なので」