河童観察物語。
始まり。
「――…な……水凪!!」
「んぅ?」
誰かに肩を揺すられ、ふわふわとした意識の中から浮上した。
頭をゆっくりと上げ目を擦ると、赤く染まった教室と友達の香実が視界に入った。
「……おはよう香実。どしたの?」
「っは〜〜、あんたって子はいっつもこう呑気よね〜〜」
香実は頭を抱えてため息を吐く。僕はと言えば何で香実がため息を吐いたのか分からず首を傾げた。
「ほら、6時間目の国語の授業。図書室で本を読んで、その本の感想を書けって言われたでしょ? なのにあんた本開いた途端に寝てんだもの」
「あり? そうだったっけ?」
記憶を辿ってみるも、思い当たる節がない。
「まぁいつものことだし、先生も特例ってことで今まで寝かせてくれたのよ。今はもう居ないけどね」
「ほーう……今何時?」
「とっくに放課後よ」
香実の言葉と外の景色ですぐさま理解し、なるほど、と手をポンッと叩いた。
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