アメフル
正面玄関に立ち、空を見上げた



昼ほどではないがまだポツリポツリと雨は降っている



私は傘を広げてその中に歩いていく



あの人どうやって帰るんだろう



傘を奪ってしまっている分、彼のことはやっぱり気になってしまう



傘、学校から借りたのかな



学校のむだな手続きとか、あんまりめんどくさく思わなさそうな人だからちゃんと借りたよね



心広いんだろうなあ



彼の笑顔がふと浮かんだ



彼女とか、いるのかな……



いそうだなあ



かっこいいし、優しいし、絶対幸せにしてくれるんだろうなあ



自分の勝手な妄想にうなずく私



もっと話してみたかったな



3年生だからあと少ししか高校にいない



同い年だったらよかったのに……



そう思う自分にビックリした



何言ってんだろ



横に首を振り何事もなかったようにした



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