アメフル
「え?」



傘を使わない?



なんで?雨降ってるのに……



質問しようと口を開いたところで



「じゃあまたね」



頭の上から声が降ってきた



顔を上げると彼の曲がる角が目の前にあった



私の手に傘を返そうとする彼を



「ちょっと待ってくださいっ!」



と、引き止め



今日こそは、と彼の腕を掴んだ



「家まで送らせてください」



「え?」



困ったような笑みを浮かべて、からだの動きを止めている



私は目に力を込めた



「お願いします」



すると彼は、ふっと力を抜き表情を変えた



「本当に君はかわいいね。君が送るんじゃなくて、俺が君を家まで送るよ。君の家に俺の傘あるんでしょ?取りに行くついでにさ」



そう言われ、私は渋々納得した



彼は曲がらず、まっすぐ私の家に向かった
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