アメフル
「あの、本当にありがとうございました。あのよかったら中に入ってください。タオル、貸しますのでっ」



じゃあ……と彼は恐る恐る玄関に足を入れた



急いで靴を脱ぎタオルを取りに行く



「どうぞ!」



1番キレイでフワフワのタオルを選んで渡した



「ありがとう」



笑顔でそれを受け取ってくれた



カバンを靴脱ぎに置いた彼に、持ちましょうか、と言おうとしたがなんかタイミングを逃し、ワタワタしただけだった



「あの、これ」



「あ、もう大丈夫ですか?」



「うん、ありがとう」



タオルを受け取り私も靴脱ぎへ下りた



「えと、この傘ずっと借りちゃっててすみませんでした。ありがとうございました」



黒い傘を傘立てから引き抜き、彼に差し出した



「いやいや、俺が勝手にしたことだし」



笑いながら黒い取っ手を握る彼



「じゃあ帰るね。タオルありがとう」



「あ、はい!」



玄関のドアを開け、私の家を出る



「こちらこそ、家まで送ってくれてありがとうございました」



「気にしないでよ。また会おうね」



手を振ってから、彼は背中を向けて歩いて行ってしまった
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