廻る時の中で


「ですので、姫様。今度城を出るときはぜひ爺やに一言申してくださいまし」

肩を震わせて泣いた爺やは、その小さな体がより一層小さく見えた。

気付けば、私が小さかった頃よりもしわが増えている。

背も少し縮んだ気がする。

いつも私が苦労ばかりかけていたんだわ。

「…わかったわ」

私はそんな爺やを見て、私は頷くことしかできなかった。

「約束でございますぞ」

「…はい」

それから私は部屋へ戻った。

ほぼ日が暮れて、部屋の中は薄暗かった。

だけど気分が晴れないから私は部屋の明かりをつけない。

気分が晴れないのよね。

貴方にもう会えないの?

そんなの嫌。

もっと貴方を知りたいし、たくさん話がしたい。


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