廻る時の中で


次の日の昼になった。

貴方と会う約束の時間が近づいてくる。

私は昨日の晩からずっと考えていた。

もう貴方に会ってはだめなの?

鏡を見ると、ひどく疲れた顔をした自分がいる。

寝れなかったんだもの、当たり前よね。

それにしてもひどい顔。

まるで自分じゃないみたい。

それでも結論はでなかった。

私は、ちらり、と時計を見る。

もう行かなきゃ、遅れてしまう。

櫛で髪を梳かし、軽くまとめると私は部屋を出ようとドアに手を掛けた。

だけど一瞬動きが止まる。

“今度城を出るときはぜひ爺やに一言申してくださいませ”

爺やの言葉が頭の奥に響く。

あ…、約束したんだった。

勝手に出てはだめ。

どうしよう…


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