廻る時の中で


でも、貴方を待たせっぱなしにして私が行かないなんて、悪すぎる。

今となっては貴方に連絡がとれないし。

散々悩んだ挙げ句、私は行くことにした。

爺やにはとても悪い気がしたけど。

今日だけなら、と思ったの。

今日貴方に会って、すべてを話すわ。

そして、これからのことは相談して決めよう、と思った。

私は、よし、と意を決するとそっとドアを開いた。

そろ〜っとドア隙間から廊下を見ると、ラッキーなことに誰もいない。

私は一目散に部屋を飛び出して、城を後にした。

だから、気付かなかったんだ。

私の後に、こっそり人がついてきている事に。

それから、この決断が後で大きな事件に繋がる事も。


< 26 / 59 >

この作品をシェア

pagetop