廻る時の中で
私はあの丘に向かって走った。
ずっと迷っている事を貴方に話したかった。
話して相談に乗ってほしかった。
でもね、貴方が何て言うか分かるような気がしたの。
貴方ならきっと“会わない方がいい”って言うわ。
貴方はそういう人だもの。
それでも私が話したいと思うのは、心のどこかで貴方にそう言ってほしくないと願っているからかもしれない。
もしかしたら、貴方が私と同じ気持ちを持ってくれているかも、なんて期待している。
変ね、私。
昔はこんなこと思わなかった。
国を捨ててまで誰かに会いたいなんて、絶対思わなかったのに。
今は違う。
そりゃ、国も大事よ。
でも“貴方に会えなくなるなら、国なんて…”って考えている私もいるのは確か。