廻る時の中で
丘につくと貴方がいた。
私は走っていた足を緩める。
貴方は私に気付かずに丘の下を見ていた。
下にあるのは、ハースの花畑とこの国の王都。
高鳴る胸を隠すように押さえて、少しづつ貴方に近づいた。
だけど、不意に足を止める。
それは、貴方が今まで見たことのないような険しい顔をしていたから。
いつも私に見せる笑顔とは正反対。
まるで何かに対して怒っているみたい。
とても恐かった。
近付けない。
何者かが近づくことを許さないような雰囲気を纏っている。
その眼は冷たく、氷のようだった。
私の好きな貴方とは別人よ。
二度と貴方の笑顔を見れないような気がした。