廻る時の中で


私はあなたに近付けずに立ち止まる。

どうしよう。

すごく気まずい。

「姫!」

貴方が私に気付き声をかけた。

「ローゼ姫?」

名前を呼ばれて二度目に私ははっと気付く。

「泣かれているのですか?」

「え?」

驚いた私は目尻をそっと触る。

あ、濡れている。

私、泣いていたの?

自分でも分からないうちに泣いていたなんて。

「ご気分が優れませんか?」

「…いいえ、そうではないの」

私が泣いた理由。

なんとなく分かる。

それは、丘の下を見る貴方の背中は恐くて、

淋しくて、

悲しかったから。


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