廻る時の中で
とある大陸の小さな国。
そして、私の生まれた国。
決して裕福ではなかったが、民は皆幸せに暮らしていた。
戦乱のこの時代には、ちょっと珍しい国だった。
わたしはそんな自分の国が好きだった。
唯一の王女として、やがては王である父に代わり、この国を守りたいと思っていた。
街のはずれこの木に登れば、高見から街と森を同時に見ることができる。
なかなか人が来ないこの場所は、私のお気に入りの場所の一つなんだ。
靴を脱ぎ捨て、裾がふわりと軽く広がるスカートをたくし上げ、するすると登っていく。