廻る時の中で


お城に帰った私は一目散に部屋に駆け込んだ。

音もなく自分の部屋の扉を閉めると、ベッドに飛び込む。

そして、ぼや〜っと天井を見つめた。

すると、貴方と会っていた時のことを思い出す。

「…キス、しちゃった」

私はぽそっと呟くと、唇にそっと手を触れた。

とたんに、かぁ〜っと顔が赤くなる。

生まれて初めてだった。

こんな気持ちになったのも、

キスをしたのも。

“必ず戻ってきます”

貴方の言葉がまだ響いてる。

でも、もう会えない。

いつ会えるかも分からない。

こんな時代だもの、

家族が無事か気になるのが普通よね。

あれ?

どうして貴方はこの国に来たの?

戦争中なら、貴方位の男の人なら兵士にはなっているはずなのに。

どうしてこの国にいたの?


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