廻る時の中で


爺やの部屋に行くのは、久しぶりだった。

小さい頃はよく遊んでいたけど、

もう何年も行っていない。

懐かしいな。

歩いていた私は、正面に見えた広間を横切り回廊に入る。

左手にあらわれた階段を一階分降りてから、左へ曲がる。

三番目の扉が爺やの部屋だった。

ここは今は未使用の部屋が多くて、あまり人が通らない。

私は爺やの部屋の前へ来ると、立ち止まった。

「…どうしようかな」

どうやったら一番爺やを驚かせられるかしら?

勢い良く扉を開けちゃう?

そうしたら、きっと爺やは驚くけど後でくどくど怒られるわね。

“マナーがなっておりません”って。


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