廻る時の中で


私は爺やの部屋の扉を見つめながら少し悩んでいた。

沈黙が辺りを包む。

すると、ふと気付く。

“あれ?爺やの部屋から話し声がする?”

扉の隙間から爺やの声が漏れてる。

それも、爺やはかなり声を荒げている。

何かあったのかしら?

私はそっと扉に耳をつけた。

かなり聞き取りにくいけど、聞けないことはない。

私は耳を澄ます。

「…が、…姫様…!」

え?

今、姫様って言った?

私のこと?

何を話しているんだろう。

私は扉の向こうの会話を聞き取ることに、全神経を集中させた。


< 44 / 59 >

この作品をシェア

pagetop