さあ、愛される覚悟を・・・


「ごめんね遼」
「遅い。何やってんだよ」

拗ねたみたいな物言いに笑ってしまいそうになるのをグッと堪えて、遼の正面に立つ。
遼の手が自然にあたしの手を取って、指を絡めるようにして、二人の手が繋がれた。



「…何?」
「え?だって……」
「顔真っ赤」

今まで散々つるんできた相手なのに、自分の気持ちが変わるとこうも違って見えるものかとビックリする。
目が合うと恥ずかしくて、繋がれた手にも、見上げる視線にも、感じたことのないような胸の苦しさを感じてしまう。



遼に手を引かれて歩きながら見る景色は、今まで見ていたものとは全然違うような気までしてくる。
そっと見上げた視線の先、遼が、ん?と薄く笑みを浮かべる。



胸がギュッと締め付けられて、不意に、目頭が熱くなった。


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